ゲーテのファウスト(高橋義孝・訳)。
ようやく読み終わったが、大変に面白くない作品だった。
というか、ギリシャ神話の神とか珍獣が大量に出てくる。ストーリーや会話の意図を理解する上ではわからなくてもほぼ支障はないのだが、理解するだけならWikipedia読めばいい気がする。本よりよほどわかりやすく簡素に内容がわかる。
特に第二部はファウストの出番が少ない。
冒頭100ページくらいが皇帝とその取り巻きの愚にもつかない会話(というと怒られるのだろう)で占められていて、正直ストーリーにどうか変わってくるのかよくわからない。
ファウストの場合は文章を楽しむ作品であってストーリーがどうこうという話ではないのだろう。そういう意味では日本語訳しか読めない時点で手をつけてはいけない作品なのかもしれない。
救いは、1行が短い箇所が多いので、本の厚みの割に(といってもそんなに厚くないのだが)全部読み終える上での文字数的難易度は低い。
例えば、
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妖精たち:
消えよ、頭上の
鬱陶しい丸天井よ。
蒼い大気よ、
いよいよやさしく
親しく覗き込め。
そうら、暗い雲も
散り失せた。
星屑がきらきら輝き、
大きな星は太陽よりも
やさしく光る。
......
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云々( Faust [一] P101 (一四四七~) )
あるいは、
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ファウスト:
証文?うるさいことをいう奴だな。
君は男子というもの、男子の一言というものを知らないのか。
己が一旦口にした言葉は、己の生涯を拘束する。
それだけではいけないというのか。
世界は刻々と流れ動いて一瞬といえども停止せぬ、
それなのにこの己だけは一枚の証文に縛られるというのか。
しかし人はみんななんとなく証文をありがたがって、
そのばかばかしさを考えてみようとはしない。
信義を誠実に胸に懐いている者は仕合わせだ。
どんな犠牲をも後悔することはなかろう。ところが字を書き封印をした羊皮紙は、
化け物のように世間の人を怖がらせる
......
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云々( Faust [一] P117 (一七一六~) )
こんな感じで1行が短い。だから耐えられた。が、人にはお勧めできない。